<この記事でわかること>
1. 脂肪吸引で何キロ痩せることができる?
2. 脂肪吸引で痩せるまでに必要な期間
3. 脂肪吸引後の術後経過と体重の変化
4. 体重100kgでも脂肪吸引は可能?適応範囲は?
4. 脂肪吸引ができない人
6. まとめ
脂肪吸引で何キロ痩せることができる?
実は、「脂肪吸引手術で、劇的に体重が軽くなる」ということはありません。脂肪吸引は、あくまでも「見た目を細くするため」であって、「体重を軽くするため」の手術ではないのです。
しかし中には、「脂肪吸引を受けて何キロのダイエットに成功しました」などという口コミを目にすることもあるかと思います。これは「脂肪吸引を受けたことで体型維持にいっそう気を遣った結果、体重が減った」ということが考えられます。食事や運動を頑張った結果がたまたま数字として表れただけで、脂肪吸引を受けたこととは直接関係はありません。
もちろん、吸引した脂肪が相当な量である場合は、多少の体重変化が見られます。
しかし、一度に大量の脂肪を取り除いてしまうと、身体に大きな負担がかかり、最悪の場合は命に関わる危険性もあるため、通常は程度を超えた量の脂肪吸引は行いません。それでは、「なぜ脂肪吸引で体重が減ることがないのか」。
この理由を紐解いていきましょう。
脂肪吸引とダイエットの違い
脂肪吸引は、「皮下脂肪」を除去する手術です。勘違いされやすいのですが、脂肪は大きな一つの塊ではありません。小さな脂肪細胞が多数集まり、それぞれが大きくなることで「太り」、小さくなれば「痩せる」という状態になります。
ダイエットでは、脂肪細胞ひとつひとつを小さくすることで「痩せる」ことが出来ます。ダイエットは、食事や運動で脂肪細胞の代謝を促し、小さくしていくのが基本です。脂肪細胞の数は変わりませんので、食事や運動の量が元に戻れば、また脂肪細胞が大きくなり「太って」しまいます。ジムやエステに通ってせっかく痩せた方々が、通うのを止めるとまたすぐに元の体型にリバウンドをしてしまうのはこれが原因です。
脂肪吸引では、皮下にある脂肪細胞を「カニューレ」という特殊な管を挿入して吸引していきます。脂肪細胞の数を物理的に減らすため、脂肪吸引を受けた部位はその後も太りにくくなると言われています。また、脂肪吸引は、完成までにはある程度時間が必要ですが、手術が終わってすぐに効果を感じる方もいるほど即効性があります。脂肪吸引は、1ヶ月もすればほとんどの方が効果を実感できると言われています。
一方、ダイエットでは体質が改善して効果が出るには3ヶ月は必要だとの声もあり、効果が出るのは非常にゆるやかです。
脂肪吸引で痩せるまでに必要な期間
「脂肪吸引とダイエットの違い」でも説明しましたが、脂肪吸引は手術によって物理的に脂肪細胞を取り除きます。そのため、取る脂肪の量や部位によって、早い方では手術後すぐに細くなったと感じる方もいらっしゃいます。手術後は、取り除いた脂肪のまわりの組織がダメージを受けています。そのダメージにより、手術を受けた部分は炎症を起こし腫れが出ますが、腫れが出てもなお細くなったと感じる方がいらっしゃるのです。
このことからも、脂肪吸引がいかに即効性のある手術かが分かります。
しかしその後、損傷を受けた部分からの出血やリンパ液のためにむくみが起こります。他にも体が回復する過程でさまざまな症状があらわれます。ダウンタイム後に現れる症状(痛み・腫れ・むくみ・内出血・拘縮)が収まり、脂肪吸引が完成するのは、手術から約半年を見ておいた方がいいでしょう。
手術から1ヶ月くらいが経つと、腫れやむくみの症状もおさまり、ほとんどの方が細くなったことを実感できます。この時点で仕上がりは約60%程度と言われており、2~3ヶ月かけて90%の仕上がりとなります。このくらいの期間が経つと、つっぱり感や動きづらさが残るものの、見た目はほぼ完成の状態です。
したがって、脂肪吸引で痩せるまでに必要な期間は、通常「手術後1ヶ月」で、「3ヶ月まででさらに効果が出てくる」ということになります。
脂肪吸引後の術後経過と体重の変化
「脂肪吸引の手術自体で体重を減らすことはできない」ということは、これまでの説明でお分かりいただけたと思います。しかし、脂肪吸引を受けた方の口コミなどを見てみると、「脂肪吸引を受けたあと、体重が増えてしまった」という声を目にしたことがあるという方もいるかもしれません。「体重が減らない」だけならまだしも、「増えてしまう」となると不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
ここではまず、簡単に手術後の経過と体重について触れておきます。
手術後の経過と体重
脂肪吸引の手術を受けた後は、取り除いた脂肪のまわりの組織がダメージを受け、傷ついている状態になります。脂肪吸引に限らず、主な美容整形手術の後には「ダウンタイム」という、体が受けたダメージを回復していく期間が必ずあります。ダウンタイムの期間中には、ダメージを受けたことによる炎症に伴なう「腫れ」や周りの組織から出る血液が原因の「内出血」、さらにリンパ液が分泌されて「むくみ」などの症状が出ます。これらの症状は、時間が経つにつれて徐々におさまっていきます。
しかし、症状が出ている間は見た目への効果も感じにくく、また、体重も増加傾向にあります。
手術後、3週間~1ヶ月ほど経つと、大体のダウンタイムの症状は引いていきます。この頃には見た目への効果も徐々に感じられ、体重も安定してくるはずです。また、すべての症状が落ち着いた2~3ヶ月後では、手術を受ける前よりもやや体重が落ちている状態となるでしょう。
体重100kgでも脂肪吸引は可能?適応範囲は?
体重が100kgを超える方は、ほとんどのクリニックで脂肪吸引の手術を断られてしまうかもしれません。細くなるために手術を受けたい方は残念に思うでしょうが、これにはきちんとした理由があります。
脂肪吸引の適応範囲
クリニックによっては、安全に脂肪吸引の手術を行うために適応範囲を設定しているところもあります。お伝えする適応範囲に該当しない方でも脂肪吸引を受けられるクリニックはありますが、リスクが高くなるということを理解しておきましょう。
- 年齢は基本的には20歳以上
- 未成年の方が脂肪吸引を受けるには、保護者の同意書や同伴が必要となります。また、18歳以下の方はまだ成長期であるため、脂肪吸引を断るクリニックもあるようです。
- 「痩せすぎ・太りすぎ」は断られる可能性も
- 特に体重が100kg以上、BMIが30以上の方は手術を断られるケースも多いようです。また、取る脂肪がほとんど無いような痩せ型の方も手術ができないことがあります。明確な基準は設けられていませんので、脂肪吸引が可能かどうかはドクターの判断次第となります。
- 「妊娠中」は手術不可
- 言うまでもありませんが、妊娠中の方は脂肪吸引手術を受けることができません。脂肪吸引は体力のいる手術である上、麻酔を使うなど、母子ともにリスクが非常に高くなります。
脂肪吸引ができない人
以下の方は、脂肪吸引を断られるケースが多いです。
- 麻酔が正常に効かない、入れられないおそれがある
- 出血量が多くダウンタイムに過度の負担がかかるおそれがある
また、以下のような方は、「肥満以外にも持病がある可能性」も高く、脂肪吸引のためにある程度の減量を求められることがあります。
- 体重が100kg以上の方
- BMIが30以上の方
- 肥満以外に「糖尿病」や「肝機能障害」など持病がある方
- 痩せすぎて取る脂肪がほとんどない方
- 以前脂肪吸引を受けて改善の見込みがない方
上記で太っている方は施術が難しいクリニックが多いと記載しましたが、当院では実際の身体の状態を見てから施術をする判断を行うため、数字だけで諦めずにぜひ気軽にカウンセリングにお越しください。
まとめ
脂肪吸引を受けたら何キロくらい痩せられるのか気になっていた方も少なくないでしょう。しかし残念ながら、脂肪吸引は「見た目を細くするための手術」であって、「体重を減らすための手術」ではありません。脂肪は水よりも軽く、脂肪吸引の手術を受けても体重があまり減らないことが多いです。
脂肪吸引の手術では、身体の中に注入した薬液と、組織から出た血液などを脂肪と一緒に吸引します。手術後、どのくらいの脂肪が取れたか教えてもらえますが、完全に分離している状態ではないので正確な量ではありません。
また、脂肪吸引後は、著しく体内の水分代謝が下がっていますので、水を溜め込みやすい状態になっています。そのため、手術後に体重が増えて不安に感じる方も多いです。体重の増減については、むくみの症状が落ち着いてダウンタイムが終われば体重は安定するので心配の必要はありません。
ダウンタイム期間中の体重変動に惑わされず「見た目の変化」を感じてみてください。